キライ、じゃないよ。
「相変わらずキツイな。って、それよりそろそろちゃんと順を追って話してくれ」


『樫くん……あの日、ちゃんと焼肉屋に行ったんでしょーね?』


「行ったよ。原川達に強引に連れ出されて、飯を奢らされることになってたから……ちょうど幸島から八田と護のこと聞いて駆けつけたさ」


『何かあると思ったのよ。わざわざ護が連絡くれた時……でもあの子なにも話してくれないし、八田に連絡して強引に話聞いて、ドンピシャだったわね』


あの日、護が八田と二人きりで会うことは、こうして幸島から得た情報だった。

ほんとこの夫婦には、今後頭が上がらなくなりそうだ。


「でなに?いい加減にちゃんと話せよ。護のことなんだろ?」


『今日久しぶりに護に会ったの。昼休みに旅行のお土産渡そうと思って。そしたらあの子たった2週間会わないだけだったのに、すごくやつれてた。食欲がないってお昼も食べないで……だから、樫くんが護に何かひどいことでも言ったのかもって……』


幸島の中で、護の変化の理由が自分にあると思われるのが、なぜか少しだけ嬉しかった。

関係ないと思われるのが1番堪えるから。

護を傷つけることは絶対あり得ないけれど、そういった辛さとか、喜びとか、それを与えられるのが俺だけだとしたら、それは凄く特別なことだと思うから。

護の一番の親友が、認めてくれたみたいで嬉しいじゃないか。

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