キライ、じゃないよ。
『護、同窓会に行くでしょう?』


中学時代からの親友、幸島 香(さしま かお)から連絡が入ったのはその翌日だった。

彼女とは高校が同じで、家も近所だったことから、実家を出た今でも付き合いがある。

月に数度行きつけの居酒屋で、仕事の愚痴を言い合うのが恒例行事にもなっていた。

彼女は図書館で司書の仕事をしている。普段から物静かな環境にいるためか、色々と溜まっても吐き出す場所が限られるらしく、私との飲み会では彼女の日々の鬱憤がかなり派手に爆発する。

私は専ら聞き役に徹している。

自分でも色々と仕事の愚痴はあるのだけど、人の愚痴を聞いていると自分の愚痴など小さなもののように思えてしまって、「護も言いなよ」と言われても、「私はもう十分」と答えていたのだった。


『高校の時の友達で付き合いがあるのって、護だけだからね。皆どんなふうになってるんだろうねぇ』

「元彼とも久しぶりに会うの?」


私の言葉に香はウッと小さく唸った。

香は当時山近 宏也(やまちか こうや)という同級生と付き合っていた。

とは言っても高校時代の2年間で卒業と同時に別れたのだが。


『宏也ねぇ。今、護から聞くまで忘れてたわ』


そう香は話すけれど、さっきのウッって漏れ出た声は、きっと多分今の言葉とは反する気持ちがある思う。



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