キライ、じゃないよ。

「じゃあ、私も教えとくし、教えて!」


幸島まで乗ってきたから、これ幸いと「仕方ないなぁ」なんて言いながらスマホを2人へ向けた。


「あの頃って、樫も私も携帯持ってなかったんだよね。……なんだか不思議。7年経って交換なんて。あの頃の方がよっぽど需要あったのにね」


スマホを見ながら懐かしそうに話す護。

そういえばそうだ。あの頃は別に携帯を持っていないことを不便だとは思わなかった。

今でさえ、携帯は仕事で必要な道具だとは思うが、プライベートではなくても別に困らない。

いや、困る奴がいたか目の前に。

山近の顔を見て今回の同窓会の連絡のことを思い出した。


「樫はなー、マジ連絡とるの苦労するから」


案の定幸島達に愚痴ってるし。


「仕方ねぇだろ。普段の連絡が仕事の携帯で事足りるんだから」

「俺、非常用に樫の仕事の携帯の番号聞いてるもん」

「じゃあ、彼女との連絡はどうしてるの?」


幸島の言葉に、ウーロン茶で噎せてしまった。


「あー、確か振られた理由にあったな?樫くんって全然連絡つかないんだよねって」


山近が変に高い声で女の真似事をする。


「お、おいっ、山近!」


睨む俺に「さっきのお返しだ!」と舌を出す山近。

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