キライ、じゃないよ。
「……歪んでる」

「初恋拗らせ女に言われたくない」


ピシャリと放つ互いの言葉に苦笑して、何故か缶ビールを打ち合わせた。


「はぁ、でも樫は私がこんな風に樫のことを未だに思ってるなんて、思いもしないんだろうなぁ……」

「護がもっとアピールすればいいだけでしょ。傷付くのが怖いからって、好きな男にまで壁作ってどうすんのって話」

「壁……かぁ」

「樫じゃあ護の周りの壁を壊すことも、超えてくることも、難しそうだなって」

「私の理想はマッチョじゃないし……」

「肉体的な意味なら、八田にこそ軍配があがるわね」

「……だから、マッチョは好みじゃない」


2人とも酔っているせいか、既に話している内容が滅茶苦茶だった。

取り敢えずは八田くんへ今週末の約束をして、あとは夜更けまで女2人で楽しく飲んで過ごした。

翌日は2人揃って二日酔いで、朝から会話する気力もなかった。


< 43 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop