キライ、じゃないよ。
そんな俺が、男は背の高い方が女にモテやすいと知ったのは、チビの時代を過ごしていたからだ。

中学時代は自分より背の高い女子から、「背の小さい男って頼りなく見えるし、隣を歩けない」と恋愛対象外宣告をされた事があったから。

そんな元チビの俺が、恋愛対象として見られる存在だと自覚したのは、高校1年の秋に初めて告白された時だ。

けれど恋愛対象外だと言われてきた俺が、身長が伸びただけでそういう対象内に入れられるのに納得いかず、告白してくれた相手の事を何も知らないって事で断った。

俺の中で、女子っていうのは、自分の中の勝手な理想を押し付けてくる我儘な生き物だって認識していた。

そんな中で知り合った皐月や幸島は、他の女子とは違う、なんていうか男友達に近い感覚だった。

幸島は既に山近と付き合っていたが、2人でいても友達というよりは兄弟が戯れ合っているような感じだったし、皐月はコロコロとよく笑う一緒にいるとこっちまで笑顔になれる、そんな存在だった。


「あ、樫。ホラ、入り口のとこ」


護がそう言って教室の入り口を指差した。

視線の先にいたのは小さなペーパーバッグを持った女子が2人。

小さく溜息を吐いたのは、こんなやり取りを朝から既に3回は繰り返していたからだ。
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