好きって言ってもいいですか?
次はクラゲだった。
神秘的な雰囲気。
周りは暗くしてあって、クラゲのいる水槽だけライトアップされている。
その中でふわふわとしているクラゲ。
「かわいい…。」
「亜子ちゃんみたいだよね。ふわふわしてて、かわいい」
…キザだ!
私は思わず後ずさりした。
でもそのときにつまずいて転びそうになった。
そう、「なった」だ。
腕をぐいっと引っ張って引き寄せられて、私は今、夏目さんの腕の中にいる。
「まったく…危なっかしいなぁ。ほんと、目が離せないよ」
そう言いながら私を抱きしめている腕にさらに力を込めた。
ちょ!待って、この状況、どうしよう心臓の音聞こえちゃう!
周りに人がいなかったのが幸い。
私は恥ずかしさからお礼も言わずに夏目さんを突き飛ばして離れた。
「へ、へ、変なこと言わないでください!」
割と大きい声で言ってしまった。
だからなのか、夏目さんは口の前に人差し指をあてて言った。
「しーっ。館内ではお静かに、でしょ」
子供扱いされてる…!!
しかもそんなニコニコしながら言うなんて、夏目さんは私の神経を逆撫でするのがうますぎる。
「そろそろイルカショーなんで、早く行きましょう」
私はスタスタとイルカショーのところは歩いた。
…まあ、夏目さんのほうが足長いからすぐに追いつかれちゃうんだけどね。