優しいあなたの嘘の法則
優しいあなたの嘘の法則

初対面です。




月曜日の3限の授業が終わった。実を言うと何回もサボろうとした。だってこの授業は。

「実希ちゃん、」

この授業は想くんも受けていて、きっと鉢合わせると思ったから。

授業が終わりほとんどの学生が退出した教室で、想くんに声をかけられた。
想くんに会ったのは、先週の本屋さんの一件以来だ。想くんはわたしに気まずそうに声をかけた。

「想くん、3コマで授業終わりだよね?」
「う、うん」
「じゃあ、ちょっと話したい」
「、もう話してくれないかと思った」
「その前にひとつだけ。聞きたいことがあるの。それを聞いたら、もう想くんとは関わらない」

そうわたしが言ったとき、想くんはとても悲しく笑った。その顔をみると切なくて泣きそうになった。


本屋さんで想くんを見たとき咄嗟に「裏切られた」と思った。それはわたしの心を深く傷つけたのだ。想くんの言う通り、もう関わりたくないと思った。もう想くんとは話したくないと思ったよ。

でも、彼の優しい嘘や彼の優しい言葉を知ってしまった。裏切られた今でも、そんな想くんの優しさを、本当だと信じたい自分がいるのだ。

「最後くらい、本音を聞かせて」
「、分かった」

思えば想くんはこれまで嘘だらけで、一度たりとも本音を聞かせてくれなかった。想くんの本当の気持ちを今度こそ知りたいんだ。

< 17 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop