ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
朝からきっちりしているのかと思いきや真逆で、しばらくぼーっとしているその姿は、なんだか新鮮で可愛らしい。

部屋着姿のままでなんとかリビングダイニングにやってきた彼は、朝食を並べたテーブルにつき、新聞を広げ始める。しかし……。


「起きてます?」


朝羽さんの斜め後方からお茶碗を置きつつ問いかけると、彼はピクリと反応し、新聞から目を離すことなく平然と答える。


「見ての通り起きてますが」

「新聞が逆さまですよ」


吹き出しそうになるのを堪えて指摘すると、一瞬固まった彼は無言で新聞をひっくり返した。今、絶対目を開けて寝てたでしょ。

普段の朝羽さんからは想像がつかなくて本当に笑っちゃうけれど、そのギャップに母性本能をくすぐられてしまうのだ。

これまでどうやってひとりで起きていたのかというと、四個もの目覚まし時計の力を借りていたらしい。

初日から、寝室の四つ角に置いてある時計を不思議に思っていたのだけど、こうでもしないと起きられないせいだったのだと納得した。

こんな調子にもかかわらず、デートした日は私より早く起きていたのだから、緊張していたというのはあながち間違いではないのかもしれない。

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