彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「なにすんだよ、烈司!?」
「うるせー無自覚でいちゃつきやがって。」
「意味わかんねぇし!」
「上映準備してんだよ、コラ!」
「あ、やっと始めるのか?楽しみだな、凛?」
「はい!烈司さん、なにを借りてきたんですか?」
「見てからのお楽しみさ、凛たん♪」
「れーちゃん、ハードボイル系が好きよね~?」
「ははは!今回は夏らしいもんにしたんだ。」
「わはははは!水着の姉ちゃんかっ!?アダルト系か!?」
「そんなもんを凛に見せられるかっ!?」
「再生すればわかることだ。早くしろ、烈司。」
「へいへい。」
「烈司、電気も消してくれ。」
「テメーがしろよ、瑞希!」
「凛がくっついてるから無理~」
「わっ!?」
茶化しながら私を抱き寄せる好きな人。
「しかたねぇな!」
それを見て呆れながら電気を消す烈司さん。
程なくして、大きな画面に映像が映る。
(わー・・・近い近い!瑞希お兄ちゃんとの距離が、近い!)
瑞希お兄ちゃんの隣で、彼に抱き寄せられる。
(こういうのもいいなぁ~)
好きな人の体温が気になって、DVDに集中できないかも。
でもいいんだ♪
「凛、ちゃんと見てるか?」
「み、見てますよ。」
耳元でささやかれ、ますますドキドキする。
(これでDVDがラブストーリーだったら、言うことはないんだけどなぁ~)
ワクワクしながらがテレビに集中する。
出前のピザをかじりながら見たのだが・・・
〈ぎゃあああああああああ!〉
「うわああああああああああ!!」
「凛!?」
「どうした、凛たん!?」
「凛ちゃん、しっかり!」
「凛道には刺激が強すぎたか?」
「わはははは!今の笑うとこだろうー?」
「どこに笑う要素がありますかぁぁぁ!!?」
烈司さんが借りてきたのは、怖いと評判のホラー映画。
それも・・・
《ガウガウガウァアアアァァァ―――――――!!》
「ああああ!死んでない!死なないよぉゾンビ!撃ったのに、生きてるよゾンビ!」
「いや、ゾンビだから死んでるぞ、凛。今のは頭を攻撃しなかったから、動いてるけど?」
かなりグロいゾンビ映画だった。
《ガウガウガ―――――――!!》
「ひゃああああああああ!?」
画面いっぱいに突然現れるゾンビに私の悲鳴が止まらない。
〔★凛はゾンビがダメだった★〕