いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
勇のポジティブな見解に、無邪気な笑顔を浮かべる勝子をぼんやり眺め、強は考える。
――お前のことをずっと好きだったと、俺はいつ打ち明けられるだろう。
そしてその日まで、俺のそばにお前はいるだろうか――

勇は、勝子を見る強の瞳に寂しさとか不安とか、これまでにない感情を見つけてしまい、一瞬胸をつかれた。
でも――。
――それでも好きな気持ちは譲れない。俺は勝子をかっさらう――

空調はきかせず、道場の開け放たれた窓から乾いた風が通り抜け、笹の葉をかさかさとならした。
それが合図のように勝子はビニール袋に食べ終えたアイスキャンデーの袋と棒を回収し、「それじゃね」と、道場を出ていった。

強と勇、2人の思いなど気づかぬ気軽さで。
3人の関係が、いつか恋とか愛に変わるかもしれない――そんなことを考えることもなく。

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