エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「ふたりきりで海外で挙式を、なんて考えていましたが、いざ籍を入れたら自慢の妻を多くの方に見ていただきたいと思うようになりました。ですので盛大にやりたいとは思っているのですが」

「思っているのだが、何だ?」

「今は仕事が立て込んでいます。それを投げ出すことはしたくありません。なので正直、式の打ち合わせに時間が取れるかどうか。式場選びも演出も結婚式に来て頂く大切な方々のため、きちんと誠意を込めてやりたいのです。東條家の一員として、ただ飾りばかりの中途半端な式にはしたくないのでゆっくり進めるつもりでいます」

動揺する私とは対照的に聖さんは堂々とそう言いきった。『東條家の一員として』という言葉を明らかに強調して。

早くことを進めたい父親とそれを阻止したい息子の攻防を、私や他の家族は黙って見守っている。というか、入っていけない雰囲気と言った方が正しいのかもしれない。そんななか、悠斗さんだけが飄々としてて我関せず状態で料理を食べている。

「完璧を求めるお前らしいな。そうは言っても何年も先と言うのはさすがに認められんぞ? 今ある仕事が片付いたらさっそく動き出しなさい。早く皆さんに紗凪さんをお披露目したいし気が早いが孫の顔も見たい。籍は入れたものの、結婚式の前に子供ができましたというのは私としてはあまりいいものではない」

「分かりました。なるべく早く実現できるように動きたいと思います」

「ああ、そうしてくれ」

お義父さんは聖さんの言葉に納得したのかそれ以上、その話をすることはなかった。
< 83 / 180 >

この作品をシェア

pagetop