綺麗なブルーを描けません
「どっちだっていいよ。あー。もう終わった。あたしの人生可哀想だー」

「...まあ、落ち込む時は落ち込んだらいいけど、終わりだなんて言わないで。また、誰か現れるからさ」

「そんな訳ないじゃん。だったら、何で10年も柚葉さん以外現れないの...」

ああ、墓穴掘ってる。何で、この長い月日まで言っちゃうかな。

「そんなに長い間、柚葉さんが好きだったの?...っていうかさ、ずっと黙ってたんだ」

「...だって、18だったんだもん。知り合ったの。柚葉さん28だったし...」

「それは仕方ないか。でも、途中で気付かなかったの?18と28じゃ問題だけどさ、28と38なら、問題ないじゃん」

「そうだよね、そうだよね...何で気付かなかったんだろう」

ついつい、柊くんの腕を強くつかむ。

実は、柊くんは、あたしが触れる、唯一の他人。

って、あたしは別に潔癖な訳じゃない。

ただ、親に、触ることを拒否されて育ったせいで、他の人に、怖くて触れない。

あたしはまじまじと柊くんを見る。



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