これはきっと恋じゃない。
本当に驚いた時って声も出ないんだなって思った。
それに、何から聞いていいか分からない。
「...どういうことですか?」
先に口を開いたのは尊弥だった。
私と同じく、意味わかんないって顔してる。
「私ね、仕事の関係で海外に行かなくちゃいけなくなったの」
お母さんは箸を動かす手を止めてゆっくり話し出した。
「それで、南都をここに置いていくか悩んだんだけど...
女の子一人でっていうのはちょっと心配だなって思って一緒に連れて行こうと思ってたの」
「...」
...なにそれ、そんなの聞いてない
私自身も初めて聞く話だった。
「だけどね、それを話したら
それならぜひうちにって尊弥くんのお母さんが言ってくれたの」
尊弥のお母さんが話に合わせてにっこり微笑む。