亡霊
「とりあえず、私はこれでばいばい」


そう、言葉を吐いてーーりいはガクリ、と項垂れた。



そしてーーーー




閉じていた目が、開き優しげな目に変わるのを俺は、見た。



「歩ーーーー



歩ッッ、私はアミをーーーッッ」



抱き付き涙する莉乃が、いた。



「大丈夫、アミは生きてる。

 安心してーー」



安心させるつもりだった。



ただ、安心して欲しかった。



「えっーーー?

 生きてる?なんで、死んでないの?」




はあ?



聞き間違いか? 


「莉乃、アミはちゃんと生きてる」



…………………ニコリと笑う莉乃。


 「よかった、生きてて」




なんだ、俺の聞き間違いか。


莉乃があんなこと言う訳ない。


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