バレンタインは狡く、賢く。
バレンタインは狡く、賢く。
もうすぐバレンタイン。

私の通う学校は進学校で、チョコレートの持ち込みも当然のように禁止されている。

それでも毎年みんなが持ってくるのはやっぱり気持ちを伝えたい相手がいるからだ。

(だって、こういうイベントでもないとなかなか告白する勇気なんて出ないもんね…)

その気持ちはわかる。
ーー私にも好きな人がいるから。

私の好きな人、それは佐藤先生。
1年生の時の担任で、2年になった今は数学を受け持っている。堅物な先生が多い中生徒の気持ちに寄り添い気さくな雰囲気で人気の先生だ。

きっかけなんてわからない。ただ気がついたら好きになっていた。
先生に名前を呼ばれるだけで嬉しくて、少し話せた日なんかは踊りだしたいくらいに幸せで。

相手にされないってわかってる。
だって先生は私より10歳も年上で、大人で。
きっと高校生なんて子どもにしか見えないだろう。
わかってはいるけど、それでも気持ちは伝えたくて私はバレンタインにチョコレートを渡すことを決意した。
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