守りたい人【完】(番外編完)
「あと、いきなりキスしてゴメンな~。もう、なんかどうやったら信じてくれるんやろ思たら、あれしか思い浮かばんかった~」


それでも、そう言って真剣だった顔を崩して、いつもの調子でケラケラと笑いだした鍛冶君。

その言葉を聞いて、今更ながらキスされた事を思い出す。

その瞬間、一気に顔に熱が集まって涙が引っ込んだ。


「ビックリしたやろ~。あの時の志穂ちゃんの驚いた顔おもろかったわぁ」

「誰でも驚きますよ!」


ケラケラと悪戯っ子のように笑う鍛冶君を、恨めしい顔で睨みつける。

真っ暗だから見えていないだろうけど、真っ赤になっているであろう顔を隠しながら。

そんな私を見て、笑うのを止めた鍛冶君はポンポンと私の頭を撫でた。


「大丈夫や、もうせんさかい」

「当たり前です!」

「あとな、今まで通りに接してな。これが原因で気まずくなるのなんてゴメンやわ」


その言葉を聞いて、心のどこかでホッとする。

私もその事が心配だったから。

これがキッカケで、鍛冶君が姫野荘を出て行ったり、気まずくなったりしないか心配だった。

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