守りたい人【完】(番外編完)
それからワイワイと朝ごはんを食べて(鍛冶君しか喋ってない)みんな仕事へと向かっていった――。
「あ、朝比奈さん!」
朝食の片づけを終え、ちょうど洗濯物を干そうとした時、玄関から出てきた朝比奈さんを見つけて声をかける。
すると、視線だけ私に向けた朝比奈さんが足を止めた。
「今日も遅いんですか?」
「――」
「よかったら、おにぎりでも持っていきます?」
パタパタと歩み寄って、そう言う。
きっと夕ご飯までお腹が空いて大変だろう。
そう思って問いかけたが、返事は返ってこない。
それどころか、視線すら合わせてくれない。
変だな? と思って首を傾げるが何の反応もない。
「朝比奈さん?」
不思議に思ってもう一度声をかけるが、相変わらず返事は返ってこない。
それどころか。
「あ、ちょっと!」
フイッと何も言わずに踵を返した朝比奈さんは、そのまま私に背を向けて行ってしまった。
ポツンとその場に残された私は、ただ茫然と立ちすくむ。
無視、された?