守りたい人【完】(番外編完)
それと同時に分かったのは、この3人でいる時間というのは永遠ではないという事。

当たり前の事なのに、分かっていなかった。


もちろん、いつか2人ともいなくなるのは理解している。

それでも、それはまだまだ先の事だと思い込んでいた。

だけど、そんな事誰にも分からない事で、今日みたいにふと突然いなくなってしまう事だってあるんだ。


だったら、後悔のないように生きたい。

朝比奈さんと二度と会えないかもしれないと思った時、伝えたい言葉が溢れてきた。

何も動かなかった事に、後悔ばかり押し寄せた。


二度と、そんな思いはしたくない。

あんなに辛い思いは、もう二度と。


「はいはいはい、おかわり持ってきましたよ」


伝えようと思う。

心の中に閉まっていた、この想いを。

だって、せっかく出会えて恋に堕ちたんだから。

臆病になって何もしないなんて勿体ない。

限られた時間しかないのならば、立ち止まっている暇はない。


「かんぱーい!」


ビールを口につけながら、帰ってきた彼を見て微笑む。

大好きだ、と心の中で呟きながら――。
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