守りたい人【完】(番外編完)
ちょっと、私、何調子こいた事言ってるの!?

自衛隊の事なんて、何も知らないクセに~!

脳内で1人悶えていると、隣にいた鍛冶君がニヤリと口角を上げた。


「な~んや、見せつけてくれるなぁ」

「み、見せつけてなんかっ」

「顔真っ赤やで」

「知ってますっ」

「頭ポンポンの威力は偉大やな」

「もう、黙って下さい!」


茶化されて更に顔に熱が溜まる。

それでも、口元は弧を描いていた。

僅かだけど微笑んだ、朝比奈さんの表情が嬉しかった。


「さ~て、念には念をや。いつ何があってもいいようにしとこかぁ」


ひとしきり、いじり倒してきた鍛冶君だったけど、気を取り直したように大きく背伸びをして椅子から腰を上げた。

その広い背中にパンチを繰り出したい気持ちを抑えて、コクンと頷く。


「私もいつでも出れるようにしときます」


そう言って、途中だった夕食の準備に取り掛かった。



――きっと、氾濫なんてしないだろうって、楽観的に思いながら。

< 271 / 456 >

この作品をシェア

pagetop