守りたい人【完】(番外編完)

「ありがとう~志穂~。お土産はちゃんと買ってくるからね!」

「寂しくなったら、いつでも電話してこい。ちゃんと海外用の携帯も旅行会社に頼んだんだ!」

「はいはいはい。分かったから、怪我と病気と事件にだけは巻き込まれない程度に楽しんできて」


こんな超マイペースのマイワールドに住んでいる両親だから心配だけど、なんだかんだしっかりしてるから大丈夫だろう。

下宿の仕事も心配だけど、一生するってわけじゃないし、下宿人もあの男しかいないから、なんとかなるはずだ。

それに彼氏に料理を作っていた時を思い出せば、誰かのご飯の用意なんて苦じゃないし、家事も一人暮らしが長いから問題じゃない。


両親が旅行から帰ってきたら仕事を探せばいいし、期間限定なら割り切れる。

その間に、もっといい就職先を探せばいいだけの話だ。

――まぁ、なんとかなるだろ。


「そうと決まれば、母さん。急いで国内旅行の計画を立てよう」

「温泉巡りなんて、いいわね~」

「そうだな、まずは北海道からだな!」

「メロンの美味しい所ね」


何度目かの溜息を吐きながら、キャッキャと楽しそうに旅行の会話に花を咲かせる両親を頬杖をつきながら眺めた。

私も、こんな風にいつまでも仲良くいられる人と出会いたいな、なんて思いながら――。

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