守りたい人【完】(番外編完)

「酷い~少しは優しく言えないんですか~」

「甘やかすと調子に乗るだろ」

「乗りませんよ~、でも当たってます~。私良い子ちゃんぶってたから彼氏に捨てられたんです~」

「――」

「聞き分けの良い子のフリして、なんでも笑顔で受けて。そしたら、彼氏が1人じゃ何にもできないような子に寝返ったんです。お前は俺がいなくても大丈夫だろって~」


「おまえ、もう止めとけ」


ケラケラと笑いながらそう言う私の手からビールを奪おうとした朝比奈さんの手を払いのける。

なんだかもう、頭がグチャグチャ。

もう止まらない。


「3年も付き合ったのに、私はアッサリ捨てられて? 浮気相手だった後輩とは、さっさと結婚ですって。あははっ、笑っちゃいますよね~!」


とうとうお腹を抱えて笑い出した途端、勢いよくビールを奪われた。

ハッとして隣を向くと、私を見下ろしながらビールを奪った朝比奈さんが、怖い顔をして私を見下ろしていた。


「笑えないから」


そして、いつものように淡々とそう言って、ビールをテーブルに置いた。

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