クールな御曹司の契約妻になりました

「それともあの時の言葉は、冗談だったのかい？」

探るような視線を浴びせられて、私は答えを探しあぐねてしまう。

「確かに、そんなこと喋っていたけれど……」

だけど、あの時の言葉は、半分本気で、半分冗談のつもりだったのに……。

それに、その言葉には、深い事情もあって……。


「それとも就職先が決まらないまま、橘さんは卒業しますか？」

答えの見つからない私を見かねたかのように、教授はさっきまでとは異なるはっきりとした言葉で、真っすぐな視線を向けて尋ねる。



「それは嫌です!!」

「それなら……」

「もちろん!!教授のお話、お引き受けします」

教授の言葉を遮り、私は部屋に響き渡るほどの声で宣言したのだ。