クールな御曹司の契約妻になりました
「千裕さんに心配かけたくなかったから……」

視線を反らしたまま口ごもりながら伝えた言葉に、千裕さんはきょとんとした顔を見せて、私の肩を力いっぱい捕まえていた両手の力を一気に抜いた。

「千裕さんが忙しいこと位、聞かなくても分かっているから。余計なこと考えさせちゃ悪いなって思って……」


一瞬瞳を白黒させた千裕さんだったけれど、息を漏らすかのように小さく笑ったと思ったら、もう一度力いっぱい私を抱きしめる。


「千裕さん、いっ、痛い……」

どうやら私の言い分なんか聞かないつもりらしい。

千裕さんは抱きしめる力を緩める気配なんて見られない。


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