クールな御曹司の契約妻になりました


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自宅で身支度を整えた私を、迎えに来たのは黒光りしている高級リムジン。

どうやら、二階堂社長が用意してくれたらしい。


玄関からリムジンに乗り込もうとした時のこと。

道の向かいの茂みから誰かがカメラのシャッターを切る音がした。

だけど、そこには人の気配はなくて、私は首を傾げた。


スポーツ紙で報じられてから数日、私の周りを怪しいカメラマンがうろついていることもあって、今のシャッターの音は気のせいかも……。

いろいろ気にしすぎなのかもしれないなぁ。


そんなことを考えながら私と、それから今日のために一時帰国した両親が、そのリムジンに乗り込んだ。



リムジンが向かった先は、都心にある二階堂グループの高級ホテル。

テンションの上がるお母さんと、それをなだめる様に喋るお父さんの話を聞きながら、私は流れる街並みをぼんやりと眺めていた。


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