クールな御曹司の契約妻になりました
契約社員が永久就職

2人の間を流れる時間が止まったかとさえ思えた。

「嫌……」

真っすぐに千裕さんを見つめた私の口から思わず漏れた呟きに、自分で驚く。

えっ?!何言ってんの、私。

こんな騒ぎになったのだから、きっと契約結婚なんて辞めたほうがいい。

萌さんとの不倫騒動よりも大きく取り上げられたのだから、いずれ私たちの秘密がバレるだろう。

それに、これ以上誰かを傷つけたくはない。

分かってる、わかってるはずなのに……。

私、千裕さんと離れたくない。


向かいに座っている千裕さんが涙で滲んで見える。

「香穂……」


千裕さんが困ったように眉尻を下げて私を見つめている。

千裕さんの声も、千裕さんの見せる様々な表情も。

私、千裕さんのことが全部好き。

< 228 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop