クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂の言うように俺はサヤカを忘れることは出来ない」
やっぱり。
千裕さんの言葉が胸に刺さる。
「だけど、香穂と結婚してからサヤカのことを思い出と思えるようになった。前に進みたいと思ったんだ。香穂と2人で」
えっ?
俯いていた顔を思わずあげて、千裕さんを見つめる。
そして、ハッとした。
千裕さんの後ろに、サヤカさんが居ない。
千裕さんがサヤカさんの話をする時にはいつも後ろに立って優しく見つめたり、悲しそうに微笑んでいたサヤカさんが、もういない。
サヤカさんを見た最後の日を思い出す。
あっ、あの時だ。
サヤカさんが急に私の身体に入り込んできた、あの日。
千裕さんが私を抱いたあの夜。
あの日から千裕さんの後ろから、サヤカさんが消えた。