クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂と結婚した当初は、あくまでビジネスだと思っていた。だけど香穂のことを知っていくうちにもっと知りたいって思い始めたんだ。香穂に惹かれていると気が付くと同時に、サヤカのことを考える時間が減ってきていたことに気が付いて戸惑った」
千裕さんの視線が宙を彷徨う。
「香穂と一緒に過ごした夜、正直驚いた。香穂が口調や声までサヤカそっくりに喋り始めたから」
私はコクリと頷く。
「『もう私のことは忘れて。香穂が隣に居るんだから』って。『千裕の心の中を占めているのは……』って。最後まで言わせたくなくって思わずキスして唇を奪ってしまったけどな」
暗闇に目が慣れた私の見つめた先に映る千裕さんの瞳がかすかに揺れる。