クールな御曹司の契約妻になりました
「……それに、怪しいカメラマンが数日前から私の家の近くをウロウロしています」
実は、このことが数日間の一番の悩みの種だったりする私は、少しだけ声を潜めると、千裕さんが小さなため息を吐く。
「あぁ。ちょっと宣伝のつもりでスポーツ紙の記者に結婚のことをリークさせたら、あんなに大きな記事になったんだ。俺も正直驚いた。」
ちょ、ちょっと宣伝のつもりって……。
千裕さんの言葉に私は返す言葉を見つけられずにいる。
「まぁ、今日からはセキュリティーだけはしっかりしたところに住むのだから安心しなさい。それでも香穂が心配というならSPをつけてもいい」
なんか、棲む世界が違いすぎて、めまいがしてきた。
あっけらかんと喋る千裕さんに、私は盛大にため息を吐きだした。