クールな御曹司の契約妻になりました
「5年間、きっと気は変わらないと思います。だけど、1つだけ言わせてください」

「あぁ、なんだ?」

就職してまだ初日だというのに、社長に抗議の声を上げるなんて一般の企業だったらきっと明日から私の席はなくなっているのかもしれない。


だけど、私はこの高圧的でエゴイストな千裕さんと残り4年と364日も一緒に生活しないといけないんだ。

かすかに震える指先を隠すようにしっかり拳を握りしめ、私は大きく息を吸いこむ。



「5年間、形だけでも夫婦です。私だって言いたいことは言わせてください」


もう引き返せないんだ。

せっかく5年間、一緒に過ごすのなら少しでも楽しく暮らしたい。

嫌なことは嫌だって言わなきゃ、きっと分かり合えない。

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