クールな御曹司の契約妻になりました
「こちらこそ、5年間よろしくお願いします」
私は、千裕さんの笑顔から目を離せないでいる。
千裕さんの瞳に引き寄せられるようにして私はグラスを重ねた。
2人だけのリビングにワイングラスの心地よい程乾いた音が響き渡った。
きっと高級でコクのある上品なワインなのだろう。
だけどワイン初体験の私は、ワインの渋さに思わず口を歪めた。
目の前では千裕さんがおいしそうに味わいながら同じワインに喉を鳴らしている。
まだまだお子様だって思われても仕方ないな。
だけど、この5年間で千裕さんを見返すくらいに大人の女性になろう。
私はそんな決意を胸に抱きながら、渋さを感じるワインをもう一度口に含んだのだった。