クールな御曹司の契約妻になりました

コン、コン。

私と千裕さんのなんだか気恥ずかしい沈黙を破るかのように規則正しい間隔で2回、ドアがノックされる。



ドアが開いて、入ってきたのはいつものよう冷静沈着なモードの秘書の成松さん。

「失礼します」

「お疲れ」

「お疲れ様です、成松さん」


三者三様の挨拶を交わすと、成松さんは私に視線を向ける。

「香穂さん、大丈夫ですよね?」


「えっ、えぇ。もちろん。この1週間、みっちり覚えましたよ。今日のゲストの名前と肩書き、それから千裕さんとの関係。」


そう言いながらも、少しだけ声が上擦ってしまい、視線を泳がせたせいで成松さんが眉間に皺を寄せる。

しっかりと仕事しろ。

そう言わんばかりの表情だ。

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