クールな御曹司の契約妻になりました
「大丈夫!!香穂は俺の隣でニコニコ笑っていればいい。なぁ、成松。それでいいよな?」
私の様子を見かねたのか、千裕さんは私に向かって柔らかに微笑んでそう言うとたしなめるように成松さんに視線を移す。
「えぇ、まぁ。ですが、社長……」
まるで納得していない表情の成松さんだけれど、千裕さんの言葉に言葉を噤む。
「香穂、そろそろ時間だ」
シックなタキシード姿の千裕さんが、成松さんの言い分をまるで受け付けないと言った雰囲気で成松さんの前を通り過ぎ、私の隣に立つと腰に手を回す。
思わず見上げた私に千裕さんは、ふっと息を漏らすかのように微笑んだ。