クールな御曹司の契約妻になりました

「実は私、香穂ちゃんはユウタさんと結婚するんだと思ってたの。」

「えっ?」

耳元で声を潜めるようにして奈々未さんが私に伝えた言葉に私の方が驚いて素っ頓狂な声をあげてしまう。

だけどその声は会場の雑音に掻き消されて、主役のはずの私が会場の隅っこで話をしていても関係ないというように時間は流れていく。


ユウタさん、という名前を聞いて抉るような胸の痛みを覚える。

大学の時、飲食店でバイトしていた時の店長だったユウタさん。


私の元カレで、同じ飲食店でバイトしていた奈々未さんだってもちろん知っている。

年上の落ち着いた雰囲気でみんなに優しくて、憧れだった彼から告白されてお付き合いが始まった時に、奈々未さんを含めたバイト仲間のみんなに祝福してもらったんだったっけ。


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