闇を抱える蝶と光輝く龍

それぞれの作戦

【結衣said】


相原家に戻ってから私は24時間あいつの近くにいるように言われた


あいつと言うのはもちろん組長


私の父親のこと


出来ればあいつと同じ空気も吸いたくないし同じ場所にもいたくないけど


桐人達のためと思うと耐えれた


父「さて、少し休憩するか」


父はそう言うと組長の椅子から立ち私のとなりに座った


ここは組長室で中には高そうな机と椅子があり


その前にソファーがある


理事長室みたいな空間だった


父「はぁ。疲れた」


するといきなり私を抱き寄せ頭を撫でてきた


これは私が来てからいつもの日課となっていた


相変わらず気持ち悪い感触だけど歯向かえば桐人達に危害が及ぶ


それだけは避けたいから耐えた


っていうのは半分うそ


桐人達の事は本当だけど耐えたんじゃなくて…


何も感じなくなっていた


つまり、嫌という感情がなくなっていた


自由もなく、幸せもないこの家で私はいろんな感情を失っていた


苦しいとか辛いとか悲しいとかそういう感情も分からなくなってしまった


今の私を例えるなら…


“人形”だと思う


感情のないあいつのされるがままに動く人形


私、いつまで生きてるんだろう


そもそも生きてる価値なんてないんじゃないかな


そんなこと毎日考えている


すると


コンコン


ドアをノックする音が聞こえた


父は撫でるのをやめ、私の向かいに座ってから


父「…入れ」


と言った


入ってきたのは黒い服を着た男性


組員の1人だろう


組員「失礼します。実はある情報が入りまして、三国組が1ヶ月後に攻めてくるそうです。それも洸龍と夢蝶、銀龍と一緒にだそうです」


父「…あいつらか。まぁ想定内だけどな。いくら人数が増えても結果は同じだ。まぁ、いい。とにかく組員全員に攻めてくることを伝えておけ。それからナイフと拳銃の扱いにも慣れとけってこともな」


組員「はっ。分かりました」


そう言うと「失礼しました」といって出ていった


みんながここに攻めてくる?


ってことは手紙を見つけたのかな?


でも、私はそんなことは望んでない


皆にはずっと笑顔で過ごしてほしい


だからお願い。ここには来ないで!


その願いは届かなかったことを1ヶ月後に私は知ることになるのだった


【結衣said end】
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