甘い脅迫生活




もう認めてもいいだろうか?



「っっ、優雨。」

「ん?」


私の涙を指先で拭ってくれるこの人を……


「好き、です。」


好きだと認めても、私は、傷つきはしないだろうか?


目を見開く優雨が、何も言ってくれない。それだけで不安になった。


ああ、こんなにも不安で、怖いなんて。


みんな、凄いなぁ。


私には無理だ。日常からこんなに怖いものづくしだったら、一人でやっていく自信がない。


「俺は、昔から君を愛しているよ。」

「っっ、」



だからこそ、私にはこの人が必要だ。


唯一私に恐怖を与える人だから、それを癒すのもこの人しかいない。



「俺の”弟”が誘拐されたと聞いてね。全力で君を救出するように、各所に頼んだんだ。まだ未成年だったけど、うちのグループのおかげかな。すぐに動いてくれたよ。」


優雨の指先が、私の涙を救う。くすぐったくて身を捩る私を見て、優雨がクスリを笑みを零した。だけど次の瞬間には、今にも泣きだしそうな表情に変わる。


「見つけた君は、死にかけていた。泣いて謝る俺に、君は気にするなと言ったよね。最低な気分だったよ。自分のせいでこうなった女の子にそんなことを言わせるなんて、情けない男だと思った。」


「それは、」


私が、本当にそう思っていたからで。でも、優雨が首を横に振るから、その先を言うことはできなかった。



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