甘い脅迫生活





「山田さん。」

「なんでしょう。」


人半人分しか空いていない私たちの距離。ここまで近いのは恋人同士か親子くらいだと思う。弟とすらこんなに近い距離になったことないよ。



「近いです。」

「ふふ。申し訳ございません。脇坂様のリアクションがくだらなくて楽しんでしまいました。」



そして山田さんの場合、時おり出てくる毒の濃さが凄い。


「すみません。」

「いえ。私としては大変好ましいことですので大丈夫ですよ。さ、ソファーへ。」

「はぁ。」



そんな私たちのやり取りを、社長はソファーに座り頬杖をついて見ている。それはそれは楽しそうに。


社長の向かい側のソファーに座った。大きなソファーに1人で座っているとなんとなく心細くなってしまう。凄く座り心地はいいけど、こんな家じゃ全然くつろげそうにないな。



山田さんは私が座ったのを確認すると一礼して社長の座っているソファーの傍に立った。一緒に座らないのは、この人が秘書だからだろうか。大変だな。秘書って。



「さて、これを見て欲しい。」


そう言った社長は、山田さんに手を差し出した。



いつの間に持っていたのか、山田さんは足元にある鞄からファイルを取り出し、社長に手渡した。




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