甘い脅迫生活
「まずはこれ。」
「はぁ。」
副業についての念書かなんかだろうか。なんてのんきに考えていた私の目の前に置かれたものは、予想だにしないものだった。
「あの、社長。」
「待って待って。まだあるから。」
社長の名前も住所も記入済み。やっぱりここ、社長の家だったのね。それに、保証人のところ。誰?達筆すぎて読めない、豪快な男の人の名前と、綺麗にしたためられた女性の名前が書かれている。女性の方は、よく知っている名前。そりゃそうだよね。
「そしてこれは写真。あとこれは条件を書いた紙だね。」
社長が次々と何かを出しているけど、怖くて視線が外せない。目の前にあるものはそれだけ衝撃的なものだからだ。
「あの、社長。」
「あー、これが最後だ。なにかな?」
私の手の震えで振動するその紙は、テレビで見るものよりはずっとカラフル。名前を書く欄を取り囲むのは、花柄のデザインで、めでたさを強調している。
「これ、」
「それ、いいだろ?最近のはそういうデザインにこだわったものもあるんだ。ちなみに記念用というのもプリントアウトできるよ。写真撮る?」
社長の笑顔に、恐怖すら感じた。この状況をおかしいと思うのは私だけなの?笑顔の社長と固まる私。山田さんはそんなことはお構いなしに微動だにしない。