甘い脅迫生活
「結婚するならするって言ってくださいよ!所長と一緒とかやです!」
「……立木。」
さえちゃん。それは所長が可哀そうだよ。
「ご、ごめん。か、彼?気の早い人でね。プロポーズされてすぐに入籍して指輪貰ったのも昨日だったから。」
「昨日!?」
「もう籍を入れてるのか!?」
さえちゃんと所長が揃って目を丸くしている。それに頷いた。
嘘は、ついてない、よね?
プロポーズ(脅迫)されてからすぐ(次の日)入籍して指輪を貰ったのは昨日。
咄嗟に思いついたのに、我ながら良い誤魔化し方だ。
「式は挙げないのか?」
そわそわした様子の所長。これは行きたいのか?人の結婚式なんて行っても面白くないだろうに。
「な、仲人、とか。」
「所長ー。それ狙いっすか?」
所長のそわそわの原因が分かったところで、さえちゃんの鋭いツッコミが。
「上司だし。」
「つっても2年そこそこっすよね。」
もはや遠まわしに図々しいと言ってないかいさえちゃん。ほら、所長が頬を引きつらせている。