甘い脅迫生活



少し悩んで私が思いついたのは。


「か、彼の会社関係のことでまだ情報を明かせなくて……?」


なかなか苦しい、言い訳。


「なぁんだ。じゃしょうがないですね。」

「そんなの現実にあるんだな。」


それなのに2人が意外とあっさり引いてくれたことに、胸を撫で下ろした。


「でも、先輩?」

「ん?」

「そうなる時は私に真っ先に教えてくださいね?」



さえちゃんの笑ってない目は、分かってるよな?と語り掛けてくる。


「それはもちろん!所長より先に!はい!」

「……脇坂さん、それはそれで寂しいぞ。」


すみません所長。私は上司の貴方より、目の前の笑顔の後輩の方が怖いのです。普段は天真爛漫な感じのさえちゃん。時折見せるこの絶対的なオーラはなんだろう?それを解明すると出てくるものはなんなのか。恐くてその先には進めない。


頼もしく、可愛い後輩に愛想笑いを返した。




< 78 / 185 >

この作品をシェア

pagetop