暴走族の姫 Ⅰ

蘭「ん。分かった…。」










ガタッ








沙羅「ッ蘭、大丈夫ですか？」









立った途端にふらついた蘭を支えたのは昔から特に蘭と仲が良かった沙羅だった。









「だいじょうぶ。」











蘭は沙羅に支えられたまま、車に乗り込んだ。








沙羅が疲れから来るものだからと









医者にかかる必要はないから言うのでそのまま、帰ったのだ。










車で、蘭から俺達に話してくれたのは家庭事情だった。









兄から無責任に跡継ぎの座を渡されたこと。









母親が大変なこと。









父親から暴力を受けていること。









顔面の打撲痕は父親のそのせいだということ。










沙羅「よく、話せましたね。寝ていいですよ。ゆっくり休みなさい。」










沙羅がそう言うと、魔法でもかけられたように蘭は眠りについた。









沙羅は親のような顔をして、蘭を見ていた。