跪いて愛を誓え
06* 顔だけの男

 私が夢や何だとごちゃごちゃ考えてしまったのに、青葉は変わらなかった。

 休みが終わるといつもの通りティアーモに来て、スーツを着た王子様になって接客をする。私に対してもいつも通りで、意地悪だったり馬鹿呼ばわりして奴隷扱い。

 まるでコンビニでバイトしているのは別人だというかの様に。

 だから私も、それに合わせて何事も無かったのかの様に過ごしている。


 でも……消し去る事は出来ない。

青葉が夢を叶えようとしている事も、その夢が誰かの為だという事も、知ってしまったから。


 青葉の大切な『あいつ』


 その人の事を考えると、自分の胸がザワザワする事も……















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