跪いて愛を誓え
03* ヘルプのお仕事





「――――本当に、大丈夫なの?」


 朝、玄関で靴を履いていると、見送りに出て来てくれたお母さんが心配そうに言った。


「う、うん、大丈夫。最初は大変かもしれないけど、とりあえず暫く頑張ってみるよ」


 お母さんにこれ以上心配かけないように、笑ってそう言ったけど、本当は私の方が不安でたまらなかった。




 おばあちゃんのホストクラブ『ティアーモ』で、酔った挙句暴走し、NO.1ホスト青葉に百八十万円もの借金をしてしまったあの日から一週間経った。

 あの日私は、青葉が洗濯してくれたワンピースを着て家に帰るとすぐ、弁護士の秋本さんから渡されていた相続の書類に署名と実印を押して送った。

 もちろんそれは、相続放棄では無く、する方の書類だ。

 だって仕方ない。相続してオーナーになれば、無職でいるよりも早く青葉に借金を返済する事が出来るだろうから。青葉の奴隷契約から一刻も早く逃れるには、相続するしか無かった。

 男装してホストで稼ぐなんて……もしバレたら大変だし、指名とか取れなければ全額返済するのにいつまで掛かるか分からないし。
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