バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 じわじわと胸を侵食する痛みと共に視界が滲み、瞬く両目から次々と雫が落ちて、熱い涙に濡れた頬を風が冷やしていく。

 誰もいない庭で、私はひとり、声を上げて泣くしかなかった。

 やっぱり偽装恋愛なんて契約、承諾しなければよかったんだ。

 そうすれば彼を好きになってしまうことも、こんな現実を思い知ることもなかったのに。

 でもそれは、『仕方がない』。

 貴明と破局した絶望の只中にいた私に、周り中が繰り返し諭したこの言葉を、こうして自分で言い聞かせるしかない。

 仕方がないんだ。すべて私の愚かさが招いたことで、私はその代償を受けなければならない。

 これは、仕方がないことなんだ……。




< 142 / 206 >

この作品をシェア

pagetop