バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「私に、ご両親と話させてくれる? 私から是非にと頼めば、きっと考えてくれると思う」

「でも亜寿佳……、いいのか?」

 信じられないといった表情で私を見つめる貴明に、ニコリと微笑んだ。

「もちろん。どうか私に、ブライダルコーディネーターとして貴明のご家族全員が幸せになる挙式のお手伝いをさせて。それが私の願いなの」

 グッと唇を結んで顔を歪めた貴明の目が、じわっと潤んだ。

 泣くのを懸命に堪えている貴明と、心から笑えている私の顔を、副社長が交互に眺めている。

 そして、まるで自分のことのように嬉しそうに、そしてとても誇らしげな目で私を見てくれた。

 その温かい眼差しをしっかりと受け止め、心を込めて見つめ返す。

 副社長、私、あなたのお陰でようやく前に進めます。

 あなたが私を救ってくれた。迷い続ける私を袋小路から救い出してくれた。

 もう少しだけ待っていてください。貴明の挙式をやり遂げたとき、私はあなたからの愛に今度こそ応えます。

「亜寿佳、済まない。ありがとう。本当に本当に、本当にありがとう」

 涙声で何度も何度も頭を下げる貴明に、私も同じように頭を下げて、本心からの言葉を贈った。

「こちらこそ、ご両家の晴れの場に私どものボヌシャンス迎賓館を選んでいただけて、大変光栄です」





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