目は口ほどにものをいう
なんでこんなことに

なんでこんなことに‼‼

父と母の間に座り、目の前の男を見る。
眉目秀麗とは彼のためにある言葉だろう。
彼もまた、彼の両親の間に座っている。

「本日は、お集まりいただきありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」

「息子の司です。」
「娘のゆかりです。」

そう、今日はお見合い。
正しく言えば、
親同士での婚活パーティーに出席した母親が見つけてきた相手。
彼の両親も私を気に入ったらしく、子供を会わせてみるということになったらしい・・・
それが、よりにもよってどうして彼なのか・・・

「娘さんのことは存じております。私の優秀な部下ですから。」

余計なことをっっ。

「あらっ。」
「まぁまぁ。」
「同じ会社とは思っていたが、まさか知り合いだったとは。」
「ほんとですなぁ。」
両親同士で盛り上がっている。

ほんとに勘弁してほしい…
私は世界一、彼が苦手なのだから。
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