キスより先に
私の返事を聞いた桐島社長が、心得たとばかりにひとつうなずく。
「うん。なら、手っ取り早い方法がある」
「はい? なにが……」
「きみも、ここに住めばいい」
一瞬、言われたことの意味がわからなくて固まってしまった。
少し遅れて社長の発言を処理した私の脳内が、クエスチョンマークで埋め尽くされる。
「な……なにを、言って……」
「別に内縁関係に留めるつもりじゃない。結婚しよう、真崎」
今度こそ言葉を失った。ぽかんと間抜けに口を半開きにした私を見下ろして、社長が可笑しそうに笑っている。
「きみのそういう顔は、レアだな。至近距離で見られてうれしいよ」
「ちょ……ちょっと、待ってください……」
処理が追いつかなくて、思わず左手をひたいにあてながら、もう片方の手のひらを社長に向けて立てた。
え? 今、桐島社長はなんて……え? 『結婚しよう』って、言った?
「返事、まだか? おあずけくらうのは好きじゃない」
「ぎゃっ!! な、なにするんですか……!!?」
必死で頭を働かせようとしているのに、向けた手を取られて指先にキスを落とされ、一気にまた意識を持っていかれてしまう。
あわあわと真っ赤になった私を見つめて、社長がにやりと笑った。
「へぇ、そうか。思っていた以上に、ストレートな触れ合いには弱いんだな」
「しゃっ、社長あの、ご自分が何をおっしゃっているのかおわかりですか……?!」
「もちろんおわかりだ。俺はきみに、プロポーズをしている」
プロポーズ!! プロポーズって!!!
いや、そもそも私たちは……!!
「付き合ってすら、いないですけど……??!」
「今さら“お付き合い”しなきゃお互いのことわからない関係か? 俺たち」
こともなげに言い放たれて目眩がする。そういう問題じゃない。
じゃあどういう問題?って、聞かれれば……。
「うん。なら、手っ取り早い方法がある」
「はい? なにが……」
「きみも、ここに住めばいい」
一瞬、言われたことの意味がわからなくて固まってしまった。
少し遅れて社長の発言を処理した私の脳内が、クエスチョンマークで埋め尽くされる。
「な……なにを、言って……」
「別に内縁関係に留めるつもりじゃない。結婚しよう、真崎」
今度こそ言葉を失った。ぽかんと間抜けに口を半開きにした私を見下ろして、社長が可笑しそうに笑っている。
「きみのそういう顔は、レアだな。至近距離で見られてうれしいよ」
「ちょ……ちょっと、待ってください……」
処理が追いつかなくて、思わず左手をひたいにあてながら、もう片方の手のひらを社長に向けて立てた。
え? 今、桐島社長はなんて……え? 『結婚しよう』って、言った?
「返事、まだか? おあずけくらうのは好きじゃない」
「ぎゃっ!! な、なにするんですか……!!?」
必死で頭を働かせようとしているのに、向けた手を取られて指先にキスを落とされ、一気にまた意識を持っていかれてしまう。
あわあわと真っ赤になった私を見つめて、社長がにやりと笑った。
「へぇ、そうか。思っていた以上に、ストレートな触れ合いには弱いんだな」
「しゃっ、社長あの、ご自分が何をおっしゃっているのかおわかりですか……?!」
「もちろんおわかりだ。俺はきみに、プロポーズをしている」
プロポーズ!! プロポーズって!!!
いや、そもそも私たちは……!!
「付き合ってすら、いないですけど……??!」
「今さら“お付き合い”しなきゃお互いのことわからない関係か? 俺たち」
こともなげに言い放たれて目眩がする。そういう問題じゃない。
じゃあどういう問題?って、聞かれれば……。