第1章

*過去*



体が痛い。
頭がぼーっとする。





「おい。人の話聞いてんのかよ。」


薄暗い部屋でフライパンを振りかぶる彼の姿がぼやけて見える。


ゴッ・・・


鈍い音と同時に私はベッドの上に倒れ込んだ。



「うっ・・・龍、もう・・やめて。」



ぼんやりとした意識の中で、私は彼の方を見る。

左目の横を何か冷たい物が伝って、ベッドに落ちた。


赤い、それ。



額を触ると手が血で真っ赤に染まった。


「お前さ」



彼は私の恋人で。

愛する人のはず。



「死ねよ」



あれ、なんで私。


殴られているんだっけ。













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