颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「過去はどうにも変えられませんけど。過去に付き合った彼氏との楽しかった思い出も消すつもりもないですけど」
「なにそれ。フォローになってないし」

「そうかもしれません。でも今の私があるのは過去に関わってくれたひとたちのおかげです。それは元カレだけの話じゃなくて、友だちとか先生とか家族とか近所のひととか。でも恋人っていうか異性っていうか、そういう対象に関して言えば、これからは颯悟さんだけですから。ずっと颯悟さんだけですから。私は颯悟さんとしかしませ……ん……??」


腕枕をしていた桐生颯悟は突如、がばっと起き上がった。そして私の身体をまたいで両手を枕の脇に突き、上から私を見下ろした。

目が……きつい。
じっと私を見下ろしている。獲物を狙う鷹のように。

視線が痛い。


「あの、颯悟さ……ん……?」
「ホント、煽るよね、キミ。今言ったことの意味、分かってるの?」
「へ? 当たり前じゃないですか。麦倉みのり、ずんだに誓って浮気はしませんって」
「そうじゃなくて。キミ、今、これからはオレだけだって。オレとしかしないって」
「だから?」
「覚悟は出来てるの? ずっと、って」
「え、あの、だってずっと颯悟さんだけですし、あのぅ……私なにかやらかしました?」
「……もう。無自覚なんだ」
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