颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
§雨降って、地固まらず底なし沼

明け方まで戯れは続き、目が覚めたときにはお天道様は真上にいて、桐生颯悟はベッドにはいなかった。

窓からの自然光に映された桐生颯悟の部屋。何度かは目にした光景だけど、なんとなく違って見えるのは、目線が低いせいだろうか。

だって今、私がいるのは桐生颯悟のベッド。

素肌に絡みつくシーツ。
ほんのりラベンダーの香り。

ああ、してしまったんだ、とうとう、桐生颯悟と。
思い出して、ひゃあ♪、となって、シーツで顔を隠す。誰が見てるわけでもないのに。


『やらしいね、みのりって』


とかドヤ顔の意地悪なセリフもあったけど、それよりも。


『かわいい』
『もっと欲しい。ぜんぶ欲しい』


とか、そんな甘いセリフの方が数としては多くて。
少し苦しそうで、それでいて切なそうな顔にこっちも切なくなって。

自分の体のコンプレックスもいつの間にかどこかに消えてしまって、夢中で桐生颯悟の背中にしがみついて求めてしまった。
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