颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「この辺?」
「☆§●※▽■〇×?!」


私は声にならない悲鳴を上げた。だって桐生颯悟の手が直接、私の腰に触れたから。しかも大きな手が添えられた場所は尾てい骨、そこは腰なのかヒップなのか微妙な部分で。っていうか下着も見えてるはずで。今日の下着はレースの黒。白地に水玉柄を笑われたからちょっと背伸びしてみたわけで。


「もっと下? 上?」
「そ、そこで大丈夫で、す」
「スカートと下着、ずらすよ。このままじゃ貼れないから」
「えっ、あ、その……や……」


桐生颯悟の指が下着の縁にかかって少しだけ下にずれた。直後、冷たい湿布がぴとりと肌に張り付いた。ひんやりと気持ちいい。夢心地だ……って、そうじゃなくて。

肩を強くつかまれ、ごろりと仰向けにさせられた。


「どう?」
「楽になりました。このお礼はいずれしますんで。あの……?」


ばふ。顔の脇を桐生颯悟の両手がかすめる。真上の至近距離に彼の顔。しかも真顔。

えっと、これは何ドン?

じっと見つめられて、目を合わせたまま動けなくなる。


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